事業用財産は全体の68%                      


                                              

2 経営者の財産のうち事業用資産の割合は68%(うち自社株は3割)で
                                あることをご存じですか?

(1)「資金」 分割資金、納税資金・・・そして運転資金は?
 相続財産のうちに事業用財産のしめる割合は68%というデーターがあります。また、株式財産が30%程度といわれています。この相続財産を民法の規定に則って分割をすると、当然、この事業用財産を後継者以外の相続人に分割していかないと均等には分割出来ません。また、遺言により遺留分の減殺請求分を犯さない割合で相続財産を分割しようとしても,やはり不足額が出てきます。それは分割財産だけではなく、相続税納税資金にも影響が出てきます。

図3:中小企業経営者の個人資産の内訳



(2)自社株式の評価額は資本金の額ではないことはご存じですよね?
 自社株式評価を毎期計算している経営舎の方は自社の株価はいくらかご存じだと思います。非上場株式はほとんど売り買いしませんので、自社の株式が現在幾らの価値があるかご存じの方は少ないのかもしれませんが、何十年も会社経営をされている方の自社株式は資本金の額ではないことは間違いありません。会計事務所や銀行に評価をして頂き自社の株式評価額を知っておくことは重要です。

(3)自社株式は、実質的に他に売却できない・・・?
  会社経営上その権限を行使することが出来ているのは、経営者が自社株式を51%〜、69%〜,等々所有しているからです。もしこの株式を他に売却し、議決権数が足りなければ、経営者は自社の経営方針の通りに自由に経営が出きなくなることになります。

(4)自社株式評価の引き下げ対策には時間がかかることをごぞんじですか?
 事業承継対策を実行する場合、自社株式評価額の引き下げ対策は必ず行われます。沢山の自社株対策の方法がありますが、その対策の手を打つには一定の時間が掛かりますから、早い段階から計画を練り、実行をしていく必要があります。

図6:株式(持分)の生前贈与を最初に受けた時期



図7:株式(持分)の価値の変化と後継者の貢献・報酬との関係





(5)事業承継税制があるから大丈夫だとお考えですか?
                      生前に確認申請の提出が必要
 平成20年9月に事業承継円滑化法に基づく事業承継税制が出来ました。発行済株式総数の2/3まで80%に相当する相続税を一定の要件のもと、納税猶予するという制度です。この制度の適用を受けるためにも、相続が開始する前に、「経済産業大臣の確認手続」が必要となります。

図8:相続開始済のケースにおける遺言等の作成